一点差で自分のチームがリードしていて、後半も残り4~5分。こんな場面でも「早く終わらないかな」ではなく、「あと5分でも10分でも長く試合をしていたい」と思える選手になって欲しいというのが、私の一番の願いです。
勝利は大切です。でも「とにかく勝てばいい」という姿勢では、サッカーの楽しさを見失ってしまいます。まず、ゲームを心から楽しむこと、その結果として勝利がついてくればいい。だから、対戦するのは一緒に楽しむ「相手チーム」であって、決して「敵チーム」ではないのです。
楽しみながらサッカーを続けていくために、最も大切なのは「自分自身で考える」習慣を持つ事です。監督やコーチから教えてもらう事が山ほどあります。
それでも「どうして監督はああ言ったのか」「なぜ自分は出来ないのか」「何の為にこうするのか」など、指導された内容を一度自分に当てはめて考えるクセをつけて下さい。自主性が上達を早め、目標を達成したときの嬉しさをいっそう大きくしてくれます。偶然に入ったシュートよりも、戦術を考えて狙い通りに決まったシュートのほうが嬉しいのと同じことです。
また、自分で考える習慣がつけば、自然にチームメイトなど周囲の人達に気を配る気持ちも生まれてきます。相手も考えているのだと思うのです。それが、「一人はみんなの、みんなは一人のために」というチームプレーの精神にも繋がるのです。
私が指導している東亜学園高等学校サッカー部は、決して個人技術の高いチームではありません。地区予選を戦う東京には全国レベルの選手を抱えた強豪がひしめいています。それでも1994年に東京代表になれたのは、各自が自主性を持つことで発揮できたチームプレーの力だったと思っています。
どんなに練習がきつくても、サッカーは楽しいものです。楽しくなければやる意味がありません。自分も相手も、見ている人も楽しめるプレーが出来る選手に育ってください。
東亜学園高校サッカー部
監督 神保岳史